【多忙な社会人向け】弁理士試験に効率よく合格するための勉強法

弁理士試験の合格率は10%未満(令和元年:8.1%、令和2年:9.7% from 特許庁)ですので難関の部類に入ると思います。昨今は受験者数が激減しているので、受験者のレベルが上がり、実際の合格難易度は数値以上に厳しいと思います。

また、合格までの勉強時間は3000時間とも言われています。しかし、大半の受験生は働きながらだと思いますので、勉強時間の捻出には苦労していると思います。

一部の優秀な人はそれほど時間をかけずに1発で合格されていますが、ごく稀だと思います。

他方で、私はというと、特許事務所へ転職する直前から勉強を始めましたので、新たな仕事を覚えながら試験勉強をするというダブルパンチで当時は一日が終わるとヘトヘトでした。しかも、さほど頭が良いわけではなく、記憶力も並でした。

しかし、そんな凡人で時間もない私でもなんとか2回の受験で受かることができました。これは自慢したいのではなく、凡人でも多忙でも工夫をすれば早期合格はできる、ということをお伝えしたいのです。

結論から言うと、その工夫とは「コスパ戦略を立てて勉強すること」です。

本記事は、「一発合格したい」とか「高得点を叩き出したい」と考えてる人向けではなく、当時の私のように「自分は天才肌ではないとは感じてるので地道に勉強してるけどやっぱりできるだけ効率よく試験に受かりたい」と思っている人に向けた記事になります。

それでは、前置きが長くなりましたが、私が取ったコスパ戦略をご紹介します。

目次

弁理士試験に効率よく合格するための勉強法

早期合格のために必要なものはズバリ「戦略」です。試験範囲を隅から隅まで勉強することは時間的にほぼ不可能ですから絞る必要があります。

勉強にとって時間は資源であり、その資源をどこにどれだけ投下するか、が効率に影響します。その資源の効率性を考えた勉強の戦略が上述した「コスパ戦略」です。

コスパ戦略は2種類の戦略です。

(1)正答率50%以上の問題を確実に正解する基礎を身に着ける

(2)短答・論文・口述の全体を見て勉強方法を決める

私は1度目の短答試験で落ちた後、この2種類の戦略を立てて勉強し、2度目の受験で最終合格を達成しました。

正答率50%以上の問題を確実に正解する基礎を身に着ける

試験に限らずですが何事も基礎が大事です。コスパを考える上でも基礎は欠かせません。

正答率50%以上の問題の重要性

では、基礎とは何ぞや。ここでは正答率50%以上の問題を解ける力を基礎と呼ぶことにします。なぜなら、短答・論文といった各試験の個別の合格率は20~30%であり、正答率50%以上の問題を確実に正解できれば合格の可能性がグッと高まるからです。

なお、合格者であっても正答率50%以上の問題のいくつかでは不正解となっているので、正答率50%以上の問題を確実に正解できればそれだけで合格が射程圏内になる年もあると思います。

また、正答率が高い問題は言ってみれば簡単な問題です。となると、正答率が高い問題を解けるようになるのと、正答率が低い問題を解けるようになるのと、ではどちらの方が楽(時短)なのか?
言わずもがな前者ですよね。簡単な問題の方が短時間で覚え、理解できるようになるからです。

すなわち、正答率50%以上の問題は短時間で解けるようになるコスパのよい問題となります。

なお、正答率50%以上の問題を把握するのに、私は過去問や答練を利用しました。過去問や答練では正答率が開示されることが多いのでそれを参考にするとよいと思います。

正答率50%以上の問題を解く力の身に着け方

ではどうやって正答率50%以上の問題を解く基礎力を身に着けるか?

結論としては「回答に根拠を持つ」です。

勉強で問題を解くときに回答に根拠(理由)を付けます。正解したとしても根拠があいまいな場合や間違っていた場合は復習します。何度も問題を解いていると問題自体を覚えてしまうことがあります。そのせいで正解しても内容が身についていないことがあります。この場合、問題の形を少し変えられただけで正解できなくなります。

なので、問題を解くときは、根拠とセットで回答し答え合わせでチェックする。
これにより「確実に正解する」力が身に着けられます。

短答・論文・口述の全体を見て勉強方法を決める

木を見て森を見ず。よく言われることですが、弁理士試験でも同じことが言えると思います。森(試験全体)を見て、木(個別試験)の勉強をすることがコスパの観点では大事になります。

森(試験全体)を意識する

弁理士試験は、短答、論文、口述の3形式の試験があり、それぞれマークシート式、記述式、口述式と回答の仕方が全く異なるため、それぞれの形式に対して対策を考えることになります。

ですが、基本的に主たる試験範囲は4法であり共通です。そのため、3試験全体を見て勉強方法を決めることが効率アップにつながります。

それぞれの木(個別試験)を横断的に勉強する

森(試験全体)を見ると各木(個別試験)の間で共通部分があるので、それら共通部分を横断的に勉強することでコスパが良くなります。

例えば、短答試験である条文の勉強をする際に論文試験や口述試験でその条文に関する問題を考慮することです。

より具体的に言うと、例えば、間接侵害について、短答試験では間接侵害の事例が正解であるか否かが問われ、論文試験では間接侵害の論点が問われ、口述試験では条文の暗唱や趣旨が問われたりします。
この場合、それぞれ別個に勉強するのではなく、例えば、短答試験用の勉強にて事例の正解・不正解を回答する際に、その根拠となる条文も書きます。さらに、その条文の趣旨や条文に関連する論点もメモ書き的に追記します。

ちなみに、この方法を実践していると、短答用の勉強では徐々に問題を解く量が減ります。代わりに、条文を確認したり暗唱したりする作業が増えます。

理由は、条文を理解していれば短答は解ける一方で、口述は理解していても暗唱できなければ突破できないと気づくからです。さすがに問題を解く量をゼロにすると解く感覚が落ちてしまいますので短答が終わるまで問題は解き続けた方が良いですが、量は減っていくと思います。

これは私の場合ですが、短答用の勉強は四法対照と口述アドバンスによる条文や趣旨、論点の理解と記憶を主にやっていました。特に、この段階で条文を覚えてしまえば口述はかなり楽になります。また、論文用の勉強で論点や趣旨を覚える際に、口述アドバンスを使えば同時に口述対策もできます。

口述アドバンスは分かりやすく論文にも使えるので個人的にかなりおススメです。少々高いですが、中途半端な講座を取るよりははるかに有用でコスパが良いです。

まとめ

今回は、多忙な社会人向けに弁理士試験にコスパ良く合格するための勉強の戦略についてお話しました。

優秀な人に聞くと弁理士試験ってそんなに難しくないよね、って言われることあるんですが、私にとっては難関でした。その上、仕事との両立なので多くと人にとってはハードルが高いと思います。なので、戦略が大事かと思い、記事にしたためました。

弁理士の仕事を実際にやってみて個人的にはかなり面白い仕事だと思いますので、ぜひ合格を勝ち取り仲間が増えたらいいなと思っています。

ちなみに余談ですが、タネあかしとして、実は説明した2種類の戦略は完全なオリジナルではありません。どちらも予備校の講師(それぞれ別の先生でしたが)が講義の中で教えてくれたものです。しかし、実際に実践している受験生は少ないのではないかと思います。まあ講師とは合う合わないがあるので素直に実践する人は一部なのかもしれません。

なので、この記事をご覧になった人の中にも自分には合わないと感じる人がいるかと思います。その場合は自分に合った別の手法を取り入れた方が良いと思います。自分で納得していないと実践できませんので。

本記事が頑張って試験勉強されている人のお役に立てれば幸いです。

ではでは。