【転職時に注意】やめとけと言われるブラック特許事務所の回避方法

知財業界へ転職する時に、真っ先に思い浮かぶのが企業知財と特許事務所だと思います。その中でも未経験者のハードルが低いのが特許事務所です。要は特許事務所は入りやすいです。

しかし、企業と違って特許事務所は小さい組織であり、言ってみれば中小企業です。小さい組織ではトップや上司の影響力が大きくなり、それがハラスメントや搾取につながりやすいので要注意です。

未経験者は、実績がなく年齢のこともあるので焦りがちですが、ブラック事務所に入ってしまうと苦しい思いをするだけでなく、抜け出すことも簡単ではありません。

私も未経験で転職して特許事務所に入った身なので、その際に気をつけたポイントを解説したいと思います。

目次

ブラック特許事務所の回避方法

未経験者がブラック特許事務所を回避するための方法は以下の3つです。

1.ブラック特許事務所の特徴を把握

2.特許事務所の情報を収集

3.転職・就活で焦らない

孫子の兵法でいう「彼を知り己を知る」感じですね。1と2で「彼」=特許事務所を知り、3で「己」=自分の状況を知ってコントロールすることで、大失敗は避けられると思います。

ちなみに、孫子の兵法の「彼を知り~百戦危うからず」は必ず勝てるという意味ではなく、負けない or 負けても致命傷にはならないことを目指すものらしいです。

確かに致命傷にならなければ再起可能ですからね。

ブラック特許事務所の特徴

ブラック特許事務所といっても見るからにブラックさがにじみ出ているわけではないです。そんな事務所だったらすぐに晒されたり通報されたりしてるはずですからね。しかも特許事務所の情報はなかなか表に出てきません。

なので、周辺情報から特徴を見つけることになります。

周辺情報その1:求人情報

周辺情報の1つは、求人情報です。

ブラック特許事務所はその過酷な労働環境であるがゆえに人が定着しにくいです。なので、ブラック特許事務所は常に求人情報を出している傾向にあります。

例えば、知財求人情報サイトを定期的にチェックし、そこに常に求人情報が掲載されている事務所はブラックを疑ってもよいと思います。

知財系の求人サイトは下記3つのいずれかをチェックするのがおススメです。
(見るだけなら無料です)

ただ、ある程度大きな事務所だと人の出入りがあるので、常に求人を掲載していることがあります。知財業界は比較的人材の流動性が高いため、優秀な人を確保する機会を設けておくという戦略を取る場合もあります。

周辺情報その2:クライアントの情報

ブラック特許事務所の特徴の1つとして、過剰な業務量があります。これは経営者が意図している場合とそうでなく結果的にそうなっている場合があります。

意図している場合は、ブラック中のブラック事務所と言えますが、そこまでヤバい事務所は多くはないと思いますし、ネットで噂が流れてるので比較的回避しやすいです。

他方で、意図していない場合、結果的に業務量が過多になっていることが多く、状況によってはブラックとまではいかずグレー事務所といったところでしょうか。どのみち、疲弊する割には報われないので避けるべきではあります。

業務過多に陥る理由

後者の状況に陥る理由としては、特定のクライアントからの大量発注があります。

事務所は、クライアントから大量発注する代わりに値段を下げること(ボリュームディスカウント)を暗に明に要求されます。そして、事務所の所員はそれを捌くことを要求されます。

ここで、所員の成果は売上に応じて決まります。しかし、ボリュームディスカウントで単価は下がっていますので数をこなしても売上は大して上がりません。その結果、過剰労働となってしまいます。

事務所(経営者)としては、大量発注されても自分が忙しくなるわけではなく、発注を受けられれば事務所としては売上が上がるのでボリュームディスカウントしてでも受注しようとします。

なので、現場(所員)の状況に気づかない経営者がいる事務所はブラック~グレーになるということです。

こういった事務所は、受注=出願しているクライアントが少数に偏っています。クライアントとその偏り具合は、クライアントの出願情報を見れば大体把握できます。出願情報は特許庁の提供するJplatpatを使って調べることができます。

ただ、専門性が高い技術分野である場合は単価が高くなるので、クライアントが絞られていた場合でもブラックにならない場合もあります。

特許事務所の情報を収集

上記のような特徴を押さえつつ、特許事務所の情報を収集することが重要です。情報収集の方法はいくつかあります。

・Webで調べる

・知り合いから情報を得る

・転職エージェントから情報を得る

Webで調べる

Webの活用は情報収集の基本ですね。単純に事務所や所長の名前で検索することに加えて、企業情報をシェアしているサイトを活用するのもありです。

例えば、転職会議キャリコネといった企業に勤めていた人の口コミ情報を集めたサイトを利用することで内部事情の一部を把握することができます。特に事務所内の雰囲気や業務量といった情報はWeb検索ではあまり得られないので有効です。

知り合いから情報を得る

その事務所の関係者から直に情報を取得できれば、それは信ぴょう性がかなり高い情報になります。一例として、その事務所に勤めている人、過去勤めていた人、友人が勤めている人などです。

といっても、そんな都合の良い知り合いがいることは少ないと思います。そんな場合は、SNSを使うことを検討してもよいと思います。

具体的には、ツイッターなどで自分が知りたい事務所の情報の提供を呼び掛けたりすることが考えられます。そのために、普段から知財関係者をフォローしたり、自身も発信したりしてコネクションを作っておくとよいと思います。

転職エージェントから情報を得る

Webの情報も、人伝いの情報も、やや信頼性に欠けるという面があります。やはり情報はプロから得るのが一番です。事務所の情報を持っているプロといえば、転職エージェントです。

転職エージェントは、普段から事務所に出入りして情報を収集しています。これには事務所から提供される情報のみならず、事務所の経営状況や雰囲気、時にはOBや現所員から得た情報も含まれます。

本気で転職を検討している場合は、しっかりしたエージェントであれば事務所の良い面・悪い面の両方の情報を教えてくれます。

なお、転職における情報収集については別記事でまとめていますので、よければそちらもご参考ください。

転職・就活で焦らない

最後は、転職・就活において「焦らない」ことです。焦るとろくなことがありません。

確かに、未経験だと早く経験を積みたいと考えるでしょう。特に、知財業界への転職はある程度年齢を重ねてから、ということが多いです。なので、年齢を考えると早く経験して自分に合っているかを確認したいし、実績を上げて年収を増やしたいでしょうしね。

しかし、焦ると情報を見落とすおそれがあります。あるいは情報は得たが判断をミスる可能性もあります。

また、焦ると足元を見られることもあります。給料を安く買いたたかれたり、きつい仕事を押し付けられたりするかもしれません。

というように、焦るとろくなことがないので、焦らずじっくり情報を収集して判断するようにしましょう。

まとめ

今回はブラック特許事務所を回避する方法について解説しました。

まとめると、下記を気を付けることで大失敗は避けられると思います。

・彼を知り=ブラック特許事務所の特徴を知って情報を収集する

・己を知る=転職・就活では焦らない

なお、個人的には、平均年齢が低く事務所内の情報を積極的に開示している特許事務所は、ブラックである可能性は低めかと思います。同年代が多いと楽しく仕事ができますしね。

特許事務所に失敗せず転職する方法として下記記事にまとめていますのでよければご参考にしてください。

これから特許事務所への転職を検討している方に参考になれば幸いです。

ではでは。

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Posted by りってる