自動車業界(完成車メーカー)を特許の観点で分析してみたら納得の結果!?

おはこんばんちは。りってるです。

先日の記事「特許出願数から推測するテック企業の将来」で、特許出願数を使って企業の分析を少しやってみましたが、他の完成車メーカーも分析してみると面白かったので、記事にしてみようと思います。

前回分析したのはトヨタ、ホンダ、ニッサンの3社でした。

今回追加で分析するのはマツダ、スバル(富士重工)、三菱自(三菱自動車)、スズキです。

いずれも個性がある車を作っている企業ですね。

ちなみに、ダイハツはトヨタの100%子会社になったので外しました。

それでは分析してみましょう。

 

(1)まずは売上比較
(2)特許出願数の比較
(3)売上と特許出願数
(4)完成車メーカーの将来を考察

 

目次

まずは売上比較

最初に売上で4社を比較をしてみます。

マツダ、スバル、スズキがほぼ同じ売上ですね。

この10年は4社とも売上が上がってきていますが、特にスバルの上がりっぷりが顕著ですね。

スバルはアイサイトを武器に安心安全をブランド化してきていますし、北米で人気となり高成長となったようです。

マツダもデザインを一新したりスカイアクティブエンジンを開発したりしてブランド力を向上させてきたことが功を奏しているようです。

一昔前のマツダ車はあまり人気がなく、値引き額はメーカー1、2を争うような状態だったのですが、ここ数年は値引き額が低下して価格競争力が上がっています。

スズキも好調で、日本では軽自動車が人気なのでその追い風と、インドでのシェアが50%越えを維持しているなどが要因ですね。

逆に、三菱自は、大して伸びていません。PHEVに力を入れていますが、経営的な問題や燃費不正問題など問題が山積しており、それが足を引っ張っているのかもしれませんね。

 

特許出願数で比較

次に、特許出願数で4社を比較してみます。

と、その前に、これまで「特許出願数」と記載してきましたが、正確には特許公開数になります。1年半前に出願されたものが公開された数をここでは特許出願数としています。

※上記は2020/10/10時点の情報ですので、2020年の件数は上振れします。

まず2010-2011年はリーマンショックのあおりを受けていますので、考慮から外します。

それ以降は、各社とも出願数を伸ばしていますね。

マツダが最も出願数を伸ばしていますね。

この頃、スカイアクティブエンジンの技術を開発していたと思いますので、それに関する出願が多いのかもしれません。

スバルも最下位からグングン伸びて、2017年には三菱自、スズキに追いつき、追い越していますね。

この時期はアイサイト関連の出願が増えているのかもしれません。

逆に、三菱自、スズキは2015年あたりまでは伸びているのですが、そのあたりをピークに下がってきています

2019年にはスズキはトヨタと自動運転技術について提携を発表していますので、技術開発に限界が来ているのかもしれません。

トヨタ自動車とスズキは2019年8月28日、自動運転分野を含めた新たなフィールドでの協力を進めるため、資本提携することで合意したと発表した。

出典:Response “トヨタとスズキ、資本提携へ 自動運転分野などでの協力を推進“より一部抜粋

三菱自は、ルノー・日産連合の傘下に入りましたが、経営状態は思わしくない状態です。

それが響いて特許出願数も減少しているのかもしれません。

 

売上と特許出願数

最後に、売上と特許出願数の関係を各社で見てみます。

まずはマツダ。

特許出願数と売上が相関していますね。

ただ、2020年の特許出願数がこのままだとかなり減少しそうなのが心配ですね。

来年以降の業績にも影響があるかもしれません。

さらなるブレイクスルーを狙うとなると、これまで培ってきたエンジンなどの走りの技術とは別に、MaaS・CASEに関する技術開発が今後は必要になってくるかもしれませんね。

 

次は三菱自。

売上は回復傾向ですが、出願数は下がり始めています。

出願数500件をキープできなければ、売上も下がっていく傾向が出てくるかもしれません。

現状、PHEV以外には技術的にあまりパッとしない印象なので厳しいかも。

 

次にスバル。

売上成長と出願数がキレイに相関しています!

相関しすぎなくらいですね。

出願は1年半前なので事業戦略と出願戦略とが完璧にハマった感じでしょうか。

ただ、ここ数年は両方とも伸び悩んできているので、アイサイトの次の核となる技術開発やMaaS対応などがポイントになってくるのかもしれません。

 

最後にスズキ。

2015年ごろまでに蓄えた技術資産を基に今は好調ですね。

エネチャージなどに関する技術が今の販売に貢献していそうです。

ただ、2016年以降は出願数が落ちているので、これからその影響が出始めるかもしれません。

 

完成車メーカーの将来を考察

分析は以上となります。

ここから完成車メーカーの将来を考察してみたいと思います。

前回分析したトップ3社+今回の4社の業績と特許出願数とを見てきましたが、現在、業績が好調なのは過去にしっかり技術開発をしてきた企業であることが分かりました。

ですので、ここ数年、特許出願数を維持している企業は、これから数年もおそらく業績は相対的には悪くならないのではないかと推測できそうです。

逆に、特許出願数が減ってきている企業は、今は好調でも厳しい将来が待っているのかもしれません

これから、自動車業界はMaaSや自動運転といった未知な領域に進んでいくため、それに備えている企業と備えられない企業とで差が開いていく可能性があります。

そういう意味では、今回は特許出願数といった技術力の概要レベルの情報で分析しましたが、どの分野に力を入れているか次第では、出願数が多くても明るい未来が待っていない企業もあるかもしれません。

個別に出願の中身を分析していくと垣間見える気がしますので、今後は個別分析もしていこうかと検討中です。

 

まとめ

今日は完成車メーカーの4社の業績と特許出願数から分析してみました。

入手しやすい情報ではあるものの、将来の簡易な推測には使えそうな印象です。

今後は、個別企業の分析や、他の業界の分析もやってみたいと思います。

何かのご参考になれば幸いです。

ではでは。

2022年2月25日転職・独立業績,特許,自動車

Posted by りってる