【映画マトリックスの世界を実現】独自のハプティクス技術で挑戦するミライセンス
![](https://yuru-life-saba.com/wp-content/uploads/2020/11/2026015-near-future-1024x724.png)
おはこんばんちは。りってるです。
今年2020年はコロナのせいで人と直接会うことが避けられるようになりました。
その代わりに、Zoomなどのコミュニケーションサービスが爆発的に普及し、リモートで飲み会したり仕事したりすることも多くなりました。
他方で、現場に赴かないとできない職種の方は変わらず出勤されています。
物を作ったり、検査したり、という仕事は、リモートではどうしようもないですもんね。
また、コミュニケーションもやっぱり握手したりハグしたり、と触れ合いが必要です。
それらをリモートでも可能にするかもしれない技術があります。
今日はそんなポテンシャルを秘めた技術で挑戦するミライセンスについて分析していきたいと思います。
ミライセンスの概要
![](https://yuru-life-saba.com/wp-content/uploads/2020/11/1031379_s-building.jpg)
ミライセンスは、産業技術総合研究所発のベンチャーで、
3Dハプティクス技術の研究開発およびそれを応用したサービスを提供する企業です。
![](https://yuru-life-saba.com/wp-content/uploads/2020/11/092812-kashigeru.png)
ハプ・・・?
となりますよね。
私も最初はちゃんと読めないレベルでしたw
ハプティクス技術は、触覚を刺激することで人に体感させる技術です。
例えば、スマホのバイブレーション(振動)もハプティクス技術です。
その他にも、映画館で提供されるようになった4D映画もハプティクス技術といってもよいと思います。
このハプティクス技術、Society5.0時代のコア技術になるんじゃないかと推測されています。
ハプティクス技術はSociety5.0時代のコア候補
![](https://yuru-life-saba.com/wp-content/uploads/2020/11/955840-town-small-1024x683.jpg)
Society5.0とは何か?
まず、人類の社会の段階はSociety x.0と呼ばれています。
・Society 1.0 狩猟社会
・Society 2.0 農耕社会
・Society 3.0 工業社会
・Society 4.0 情報社会
そして今Society 5.0 サイバーフィジカル社会が提唱されています。
Society4.0 情報社会は1990年代半ば~とも1960年代半ば~ともいわれますが
拡大の契機となったのはインターネットでしょう。
なので、1990年代半ば~はネット社会と言ってもいいかもしれません。
そして、この1990年代半ば~現代までは日本企業の衰退時期と重なります。
失われた10年だか20年だか言われていますが、
要は従来の企業がネット社会に乗り遅れて新興のIT企業に後れを取った時代ですね。
と、Society4.0の話はここまでにして、
次のSociety5.0は仮想空間(サイバー空間)と物理空間(フィジカル空間)とが融合した社会と言われています。
サイバー空間は、IT/IoTの分野で
フィジカル空間は、デバイス/モノの分野です。
なので、常にデバイスがネットにつながっていて
最適なタイミングでデバイスを自動的に動かす、
というような社会でしょうか。
出典:内閣府
その一例として、遠隔での物理的な手作業があります。
例えば、別の場所にいる作業員がネットを介して現地の物を触って加工したり検査したりすることです。
医療でも触診などが該当しそうですね。
このとき重要なのは現地・現場の感覚的な情報になります。
感覚とは、5感の視覚・聴覚・触覚・嗅覚・味覚です。
このうち視覚や聴覚の情報はすでにネットを介して提供されていますよね。
Youtubeの生放送などがそうです。
他方で、手作業で重要なのは触覚になります。
そのため、触覚の情報を伝えるハプティクス技術が重要となります。
3Dハプティクス技術とは
![](https://yuru-life-saba.com/wp-content/uploads/2020/11/1826391_s-brain.jpg)
ミライセンスのハプティクス技術は3Dハプティクス技術と言われています。
実は、ハプティクス技術自体は以前からある技術なのですが、
3Dハプティクス技術は従来の技術と根本が異なります。
従来の技術は、物理的な機構を用いて体感させるものでした。
例えば、手首にメカを取り付けてメカが動作することで手首が動かされる、といったものです。
これに対し、3Dハプティクス技術は、脳の錯覚を利用するものです。
実際に受ける刺激ではなく、脳に伝えられる刺激を再現するものと思います。
(ちょっと難しいですが・・・)
脳を錯覚させる、まさに映画マトリックスの世界です。
出典:マトリックス(映画)
詳細については、下記記事で取材されていますので、ご興味があればどうぞ。
なかなか面白そうです。
脳を”だます”ハプティクス(触力覚技術)で未来を体感させる ― 株式会社ミライセンス
この技術のメリットは、物理的な機構が不要となる点です。
従来の技術のデメリットは、機構がどうしても必要で、それが邪魔になったり、重かったり、さらにコスト増要因でなったりしていました。
それが解消されるのは大きいですね。
例えば、ミライセンスの機器はこんな感じで見た目簡素なものです。
(中身はいろいろ重要な技術が詰まっていると思いますが)
出典:脳を”だます”ハプティクス(触力覚技術)で未来を体感させる ― 株式会社ミライセンス
あと、脳による錯覚なのでリアリティが高いんじゃないかと思います。
記事によれば、刺激を受けると自然と手が動いてしまったそうなので、
これは画期的なものになる気がします。
従来の技術の延長線上ではないブレイクスルーな技術は世の中を変えることが多いですからね。
ミライセンスの業績と村田製作所による買収
![](https://yuru-life-saba.com/wp-content/uploads/2020/11/2954960_s-shake-hands.jpg)
そんな3Dハプティクス技術を持つミライセンスですが、
業績の方はというと、あまりよく分かりませんでした。
上場もしていないので公開理由がないためでしょうね。
ただ、2015年に3億円、2017年に4.5億円の資金調達に成功していることから
ある程度ビジネスとしての将来を見込まれているともいえそうです。
(プレスリリース)
と、前途は明るそうでしたが、
2019年12月に村田製作所により買収されました。
村田製作所はセンサ・アクチュエータの製造販売を生業としている企業です。
ムラタセイサク君で有名な大企業です。
出典:村田製作所
ハプティクス技術はセンサとアクチュエータが必須構成ですので、ミライセンスとは親和性高そうです。
大企業では、従来ビジネスの延長線上でない技術の開発が難しい面もあるので、そういった面ではミライセンスの買収は本業のセンサ・アクチュエータの飛躍につながりそうです。
こういった着眼点が村田製作所の強みな気がします。
村田製作所の分析もしてみたくなりますね。
ミライセンスとしても資金力に余裕ができることで安心して研究開発できそうですね。
ミライセンスの特許
![](https://yuru-life-saba.com/wp-content/uploads/2020/11/1826419_s-robot.jpg)
さて、特許についてはどうでしょうか。
調べてみたところ、日本では出願20件、特許5件でした。
(2020/10/30時点)
なお、プレスリリースでは、2015年の時点で出願20件とありますが、おそらくこれはワールドワイドの総数と思われます。米国などの外国にも出願していているようでした。
今回は、件数が少ないのと新興企業なので出願年の分析は割愛し、
早速IPC分類でどの分野に出願しているか見ていきたいと思います。
下記は出願されているもののIPC分類トップ10の一覧です。
![](https://yuru-life-saba.com/wp-content/uploads/2020/11/miraisensu-ipc-table.png)
また、上の表をグラフ化したものが下記です。
(※IPCは1つの出願に複数つけられることがあります)
![](https://yuru-life-saba.com/wp-content/uploads/2020/11/miraisensu-ipc-graph.png)
分析結果の円グラフの赤字部分が触覚刺激を与える装置に関するものです。
この分野が圧倒的に多いですね。
残りの分類も触覚刺激を応用した技術なのでほぼ全てがハプティクス技術の出願といえそうです。
ベンチャー企業は、金融資本や人的資本の観点で出願できる件数が少ないので、このような感じで保護が必要な技術に絞って出願することになります。
ちなみに応用の出願では、ナビゲーションが多かったです。
触覚を用いたサービスでは、考えられるものの1つですね。
ただ、これから遠隔サービスが増えると、応用先は多岐にわたると思います。
まとめ
今回は、未来の技術3Dハプティクスを研究開発するミライセンスについて分析してみました。
基本技術もまだまだ発展途上とは思いますが、気になるのは応用先ですね。
日本企業はデバイスについては強いので、できればそのデバイスを用いたサービスまで手掛けることができる企業が出てきてくれるとSociety5.0時代のリーディングカントリーになれそうなんですけどね。
何かの参考になれば幸いです。
ではでは。
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません