知財業界で40代の転職は可能なのか?【条件付きOK】
おはこんばんちは。りってるです。
昔は35歳転職上限年齢という説が有力でしたが
現在は、35歳以上でも転職市場で評価されています。
データを見ても明らかです。
(70代でもスカウト実績があり驚きですね)
とはいえ、40代ともなると需要は減っています。
では、知財業界で40代の転職はどうなのでしょうか。
以前、知財業界への転職は30代でも遅くない理由についてお話しましたが、今回は40代についてお話したいと思います。
知財業界における40代の転職は可能なのか
ずばり結論としては、
かなり狭き門だが転職先ごとの条件付きで可能性あり
考えられる代表的な転職先は下記4つです。
・特許事務所
・企業知財
・登録調査機関
・特許庁
おや?
特許事務所や企業知財はよく挙げられますが
ちょっと特殊な転職先がありますね。
また、条件は以下の2種類あります。
・自身のバックグラウンド
・仕事内容
これらの転職先で条件が合えば転職可能性ありと考えられます。
詳細に説明していきますね。
特許事務所
特許事務所の求人は、
・未経験なら30代前半まで(30代後半も稀にあり)
・経験者なら40代前半まで(経験内容によっては40代後半も)
ただ、未経験の40代を募集に入れている事務所はほぼ皆無です。
理由は、成長スピードと待遇です。
通常、一人前になるのに早くて3~5年、長いと10年かかるといわれています。
これに対して、40代ともなると成長スピードは衰えがち。
少なくともそうみられます。
また、待遇も低くしづらいです。
家族がいたり、ローンを抱えてたりするので
20代の会社員の平均給与レベルまで落とすとかムリです。
実績で明細書作成能力の可能性を強く感じさせる
特許事務所は自分で稼いでなんぼです。
採用されるためには、稼ぐための実務力を感じさせることです。
例えば、
・事務所が強化したい分野の第一人者
・知財部員ではないが明細書を書いたことがある(しかもそこそこの件数)
・執筆以外で強みがある(著名性、講演実績など)
・新しいことにチャレンジしてきた実績
これらのうちの2~3以上あてはまれば可能性が出てくると思います。
かなりハードル高めです。
顧客を連れてくる
実務力以外で採用されるには、実務以外で事務所の売上に貢献する必要があります。
例えば、顧客を連れてくる、などです。
(まあ天下りみたいな感じになりますが・・・)
しかし、顧客紹介は、半端な実務力の経験者を雇うよりもはるかに威力があります。
特に、大手企業が顧客だと、獲得はかなり難しい反面、一度顧客になってもらえれば特許というものの性質上、継続的に依頼をもらえる可能性が高いです。
おそらく人格的な面でおかしなことがなければ採用される可能性は極めて高いと思います。
ただ、これはこれでハードルが高いです。
顧客を連れてくるケースはだいたい自身の古巣(転職前に勤めていた企業)です。
かなり影響力を持った地位の人(例えば知財部長クラス)でないと難しいでしょうね。
企業知財
企業知財の求人は、
・企業での知財経験xx年
・特許事務所での経験xx年
基本的に、知財での経験を要求されます。
なので、知財未経験の人が採用される可能性は極めて低いです。
理由は、給与体系にあると思います。
基本的に知財部があるような企業は大手です。
大手は、いまだ大半の企業が年功序列です。
なので、即戦力でない人であっても年齢が高いと報酬が高くなってしまいます。
コストが高いのにアウトプットが低い=コスパが悪い、となります。
したがって、未経験の人は除外されてしまいます。
渉外経験で売り込む
未経験で企業知財は正攻法だとムリです。
ですが、裏技的な方法が考えられます。
それは、渉外経験で売り込むことです。
渉外経験とは、企業間での提携・係争などを行った経験です。
例えば、法務担当、技術者、渉外弁護士などの人は、経験者もいると思います。
知財業界では、提携・係争は結構あります。
最近はオープンイノベーションや権利活用で企業間での知財交渉の場は増えてきています。
他方で、渉外に慣れていない企業もあります。
特に、グローバル企業だと海外では訴訟リスク高いので、渉外部門に一定の需要があります。
なので、知財渉外の募集をかけている企業に対して、渉外経験があれば可能性の芽はあるかと思います。
(可能性低いことは低いですが)
ただ、このルートだと、特許を作る部門(権利化部門)では採用されず、渉外部門限定になります。
登録調査機関
ここから少し特殊なケースになります。
まず、登録調査機関とは何か。
特許庁からの委託で技術文献の調査、分析を行う機関のことです。
特許庁に申請して登録される必要があり、
現在下記9つが登録されています。
- 一般財団法人工業所有権協力センター
- テクノサーチ株式会社
- 一般社団法人化学情報協会
- 株式会社技術トランスファーサービス
- 株式会社AIRI
- 株式会社パソナグループ
- 株式会社古賀総研
- 株式会社みらい知的財産技術研究所
- ジェト特許調査株式会社
特許庁での行われる審査の根拠となる文献をサーチするのがメインのお仕事です。
調査する人はサーチャーとも呼ばれます。
サーチャーの求人は年齢制限ナシ?!
気になる登録調査機関の求人ですが、
・未経験OK
・年齢制限なし
驚きのナシナシ(経験ナシ、年齢制限ナシ)でした!
逆に、50~60歳という年齢制限がある求人もありました。
ザっとみたところ、むかし技術者やってました的な人ねらいっぽい感じです。
なので、特許事務所や企業知財に比べてハードルがかなり低いです。
というかほぼハードルがないです。
ただし、調査限定
でも、ちょっと待ってください。
登録調査機関では調査業務しか携われません。
調査業務は、表現があまり良くないかもしれませんが、特許事務所や企業知財のように、権利化業務や知財戦略、特許活用といった知財業務の華のような仕事ではありません。
どちらかというと、地味でコツコツやる縁の下の力持ち的な仕事です。
そういった仕事でもOKという人にはおススメできますが、
知らずに入ると愕然とするかもしれません。
知財業界のお仕事といえばそうなのですが、イメージと異なる可能性があるので要注意です。
特許庁
さらに特殊なケースです。
特許の総本山、特許庁です。
特許庁の求人は、下記2種類あります。
- 任期付き特許審査官
- 任期付き特許審査官補
このうち、任期付き特許審査官は、特許審査官の資格を有していないと応募できないので、
任期付き特許審査官補について説明します。
(任期付き特許審査官補から任期付き特許審査官に昇任できるようです)
任期付き特許審査官補の業務は、
特許審査は、全世界から受け付けた全技術分野の特許出願を、技術的観点や法律的観点から精査し、排他的独占権である特許権を付与するか否かの判断を行うという、責任とやりがいのある重要な業務です。
特許庁HP:特許庁 任期付職員(特許審査官補)の採用について
具体的には、特許出願の発明内容を正確に理解し、内国文献に限らず英語・中国語等の外国語文献も対象とした適切な先行技術調査の結果を踏まえ、特許性の判断を行います。特許性の判断では、出願人から提出された意見書・補正書の内容を十分に吟味します。
また、審査の品質管理、文献検索システムの刷新、審査の国際協力等に資する業務も行います。
とコピペしてみましたが、
要は特許になるのかどうかを審査する仕事です。
特許審査官補の求人(というか応募条件)は、
・理系の学士号以上の学位
・研究開発経験 or 知財業務経験
・特許審査官の資格を保有していない
・年齢制限なし
こちらも年齢制限はナシでした。
民間企業に出している求人には、
「採用時に年齢制限は設けておりません」
「採油時の年齢も20代~50代までとさまざまです」
とありました。
理系大学卒業していて研究開発業務経験が必要なのは少々ハードルになるかもしれません。
なお、研究開発業務は業務内容で判断され、研究開発部に所属してなくてもOKとのことです。
デメリットは任期付き
年齢制限がないのはメリットですが、
やはり気になるのは任期付きであることですね。
どうしても40代は支出が多い世代ですし、雇用が安定しないのはデメリットです。
一応、任期終了後に再採用もありうるとのことですが、10年を超える期間の採用はないようです。
ですので、任期終了後のキャリアも考えておく必要があります。
ちなみに、任期付き特許審査官から弁理士になった方のお話がありましたのでご紹介します。
かなり詳しく書かれていますので気になる方はどうぞ。
結論
40代で知財業界のメインの仕事へ転職するのは、
これまでのキャリアで何かしら知財に関わっていないとかなり難しいです。
ただ、キャリアに知財が関係してないがどうしても知財業界に入りたいというのであれば、登録調査機関や任期付き特許審査官補という道があります。
なお、長くなるので割愛しましたが、
特許関係のサービス提供を行う企業に転職を試みるという手もあります。
こういった企業では、クラウド系の調査支援サービスや文書作成ソフトなどを販売提供しています。
ただ、市場がニッチなので規模が小さく、採用枠もあまりありません。
そもそも知財業界なのか?という点で疑問符もつきますが・・・
あとがき
今回は、40代での知財業界での転職についてお話ししました。
知財としてのメイン業務ではかなり狭き門ですが、
少し軸をずらすとチャンスはありそうです。
自身の興味とバックグラウンドを整理した上で検討の価値はあるかなと思います。
今後のキャリアの参考になれば幸いです。
ではでは。
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